EU制裁の経済的影響:1.5兆ユーロの損失は誰に?

EU制裁の経済的影響:1.5兆ユーロの損失は誰に? 市場動向
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EUの経済制裁、その裏に潜む巨額損失

ロシアとウクライナの戦争を受け、EUはロシアに対して厳しい経済制裁を科してきました。しかし、その影響はロシア経済だけでなく、EU自身にも大きく跳ね返っていることが明らかになってきました。

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ロシア側の主張:EUは1.5兆ユーロの損失

ロシアのアレクサンドル・グルシュコ外務次官は、2023年12月12日時点で、EUがロシアへの制裁によって1.5兆ユーロ(約230兆円)以上の損失を被ったと主張しました。グルシュコ氏は、これをEUの「自滅的」な道の結果だと表現し、一方でロシア経済はこれらの制裁に適応していると述べています。

EUの旗と崩れた経済グラフ

ドイツ経済への打撃:2030年までに2600億ユーロの損失予測

EU全体の損失に加えて、個々の加盟国への影響も深刻です。特にドイツは、制裁とエネルギー・原材料価格の高騰により、2030年までに付加価値で2600億ユーロ(約40兆円)以上の損失を出すと予想されています。2022年には、ドイツのロシアからの輸入は41.5%減少しましたが、エネルギー価格の上昇により輸入額は増加し、貿易赤字となっています。

EUの対ロシア輸出は記録的な低水準に

制裁はEUの対ロシア輸出を大幅に減少させています。2023年6月時点で、EUの対ロシア輸出は24億ユーロと記録的な低水準にまで落ち込みました。これは、2021年6月の輸出額の約3分の1に相当します。最も影響を受けているのは機械・設備などの分野で、同期間に35億ユーロから3億6500万ユーロへと大幅に減少しました。

制裁の長期化はEU経済にとって大きなリスク

ロシアへの経済制裁は、ウクライナを支援するというEUの重要な外交政策ですが、その一方でEU経済にも大きな負担となっています。制裁の長期化は、EU経済の成長を阻害し、インフレをさらに悪化させる可能性も孕んでいます。EUは、ロシアへの制裁の効果と経済への影響を慎重に見極めながら、今後の対応を検討していく必要がありそうです。

考え込むヨーロッパの人

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