DeFi市場で躍進、USDeがDAIを逆転
イーサリアム基盤のステーブルコイン、EthenaのUSDeが、時価総額でMakerDAOのDAIを上回り、ステーブルコイン市場で第3位に浮上しました。2024年12月14日時点で、USDeの時価総額は約56.5億ドルから60億ドル（約8,660億円から9,180億円）に達し、DAIの約45億ドルから47億ドル（約6,890億円から7,190億円）を凌駕しています。
高利回り戦略が人気
USDeの躍進を支えているのが、Ethenaが採用する「CeDeFi」と呼ばれる利回り戦略です。CeDeFiは、DeFi（分散型金融）のスマートコントラクトと、オフチェーンのデリバティブ取引を組み合わせた仕組みで、高い利回りを提供しています。USDeをステーキングすると、年率平均24%から29%という高APY（年間利回り）を得ることができ、投資家から注目を集めています。
DeFiプラットフォームへの統合進む
USDeは、DeFiレンディングプラットフォームのAaveなど、複数のプラットフォームに統合されています。Aaveでは、USDeは最も急成長している資産の一つとなっています。また、トレーディング会社Wintermuteも、10月からUSDeを取引担保として利用開始しており、その普及が加速しています。
リスクと批判も
USDeの成長は目覚ましいものですが、CeDeFi戦略には、オフチェーン取引所やカストディアンの潜在的な失敗など、inherent risks（内在するリスク）が伴います。また、一部の批評家からは、Ethenaのモデルは、持続可能性の観点から、かつて破綻したTerra-Lunaプロジェクトと類似しているとの指摘も上がっています。Ethenaは、2024年に約2億ドル（約306億円）の手数料収入を生み出し、その一部をトークン保有者に還元することを約束しています。EthenaのネイティブトークンであるENAは、6月以降5倍に値上がりするなど、大幅な成長を見せています。
ステーブルコイン市場の現状
ステーブルコイン市場全体の規模は約2,000億ドル（約30兆6,000億円）に達しています。テザーのUSDTとサークルのUSDCが、それぞれ約1,400億ドル（約21兆4,200億円）と約400億ドル（約6兆1,200億円）の時価総額で上位2位を占めており、業界の巨人として君臨しています。USDeの登場は、この巨大なステーブルコイン市場に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。今後の動向に注目が集まります。
