アルゼンチン経済改革:ミレイ大統領二年目の戦略
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、就任二年目となる2025年以降の経済政策を発表しました。大幅な減税や通貨競争の導入など、その内容は非常に大胆なものです。果たして、これらの改革は成功するのでしょうか?今回は、ミレイ大統領の打ち出した主要な経済政策について解説していきます。
目玉は90%の減税!地方分権で経済活性化
ミレイ大統領が打ち出した政策の中で最も注目すべきは、
**国税の90%削減**でしょう。これは、アルゼンチンの歴史上、類を見ない規模の減税です。目的は、各州への税収自主権の返還と、州間の競争促進による経済成長です。この改革によって、アルゼンチン政府は、これまで以上に小さな政府を目指し、国民への税負担を大幅に軽減します。同時に、各州は、独自の税制を導入することで、企業誘致や雇用創出を積極的に行うことが可能になります。
通貨競争で国民に選択肢を!
ミレイ大統領は、2025年に為替管理を廃止し、国民が自由に外貨を選択できるようにする計画も発表しました。ただし、納税だけは引き続きアルゼンチン・ペソで行うとしています。この政策の狙いは、通貨競争を導入することで、アルゼンチン・ペソの価値を高め、インフレを抑制することです。また、国民にとっては、外貨預金や海外投資がしやすくなるなど、メリットも多いと考えられます。

大胆な歳出削減と規制緩和で経済の足かせを外す!
ミレイ大統領は、歳出削減と規制緩和にも積極的に取り組む姿勢を見せています。不要な政府機関や国営企業を廃止し、民間企業の投資を促進することで、経済の活性化を目指します。すでに、鉱業、エネルギー、テクノロジーなどの戦略的な分野において、118億ドル(約17兆9700億円)を超える投資要請を受けていることを明らかにしました。
これらの政策によって、アルゼンチン経済は、より自由で効率的なものへと生まれ変わることが期待されます。しかし、その一方で、急激な改革による混乱や、貧富格差の拡大などのリスクも指摘されています。今後の動向に注目です。
メルコスール改革と米国とのFTA締結も視野に
ミレイ大統領は、南米共同市場(メルコスール)の改革にも意欲を示しています。具体的には、域内の関税障壁を撤廃し、米国との自由貿易協定(FTA)の締結を目指すとしています。
メルコスールは、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4カ国で構成される関税同盟です。しかし、近年は、域内の経済格差や、保護主義的な政策によって、その存在意義が問われています。ミレイ大統領は、メルコスールをより自由で開かれたものに改革することで、アルゼンチン経済の成長につなげたい考えです。

原子力発電の行方は?
ミレイ大統領は、原子力発電についても言及しており、小型モジュール炉(SMR)の導入を検討している可能性があります。SMRは、従来の原子力発電所よりも小型で、安全性が高いとされています。アルゼンチンは、すでに原子力発電所を保有していますが、SMRの導入は、エネルギー安全保障の強化と、温室効果ガス排出量の削減に貢献すると期待されています。
ミレイ大統領の経済政策は、アルゼンチン経済にとって大きな転換点となる可能性があります。今後の動向から目が離せません。