バンガード、ビットコインETFへの参入を見送り
世界第2位の資産運用会社バンガードは、ビットコインETF(上場投資信託)の提供と仮想通貨への投資に対して、改めて反対の姿勢を表明しました。その理由は大きく分けて以下の4つです。
1. 価値の不安定さと投資哲学との不一致
バンガードは、ビットコインを「未成熟な資産クラス」と見なしており、歴史が浅く、固有の経済的価値やキャッシュフローがないことを指摘しています。バンガードのETFキャピタルマーケットおよびブローカー・インデックスリレーションズのグローバルヘッドであるジャネル・ジャクソン氏は、ビットコインは「その投機的な性質と本質的な価値の欠如により、ポートフォリオに混乱を引き起こす可能性がある」と述べています。
バンガードの投資哲学は、創業者の故ジャック・ボーグル氏の原則に基づいており、ビットコインのような投機的な商品よりも、本質的なキャッシュフローを生み出す資産を重視しています。同社は歴史的に、1990年代のインターネットファンド、レバレッジ型およびインバース型のファンド、店頭市場株など、短期的なトレンドやハイリスク投資を避けてきました。

2. ボラティリティ(価格変動)の高さ
ティム・バックリーCEOは、ビットコインは価格変動が激しすぎて、価値の保存手段としては機能しないと強調しました。彼は、金融危機の際には、ビットコインのパフォーマンスは株式と同様の動きをするため、退職後の貯蓄を目的とした長期ポートフォリオには適していないと述べています。バックリー氏は、ビットコインを「株式や債券のような安定性やインカムストリームを提供しない投機的な資産」と表現しました。
3. 間接的な投資は行うものの、直接投資は拒否
ビットコインETFに反対の姿勢を示しているバンガードですが、世界最大のビットコイン保有企業であるマイクロストラテジーに多額の投資を行っており、ビットコインに間接的に exposure(エクスポージャー:影響を受けること) しています。しかし、これはビットコインや暗号資産関連商品への直接投資に対するバンガードの方針転換を示すものではありません。
4. 業界の潮流との対比
バンガードの姿勢は、ブラックロック、フィデリティ・インベストメンツ、インベスコなど、スポット・ビットコインETFを立ち上げ、これらの商品への資産の流入が顕著に見られる他の大手資産運用会社とは対照的です。
バンガードが、今後ビットコインETFに対してどのような姿勢を示すのか、引き続き注目が集まります。
